きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




放課後、体育館の使用許可がクラスごとに回ってくることになっていて、今日がその初日。


女子チームは円になって、和やかな雰囲気でボールを上げる。


一方、男女混合チームは、さっそくスパイク練習を始めていた。


「きゃー!小野君うまい!」


あちこちで歓声が上がったのは、雄平のスパイクがすごいコースで決まった時だった。


女子チームもしばらく手を止めて、雄平のプレイに見入る。


まったく、嫌味なくらいに何でもできる。


モテるのも、わかる。


Tシャツの袖を肩までまくりあげて、汗を流す雄平は、悔しいけれど、かっこいい。


思わず見つめてしまったけれど、視界に香織の姿を捉えた瞬間、あたしは視線をそらす。


香織も雄平を見つめている。


いつも、一番近くで。


胸がヒリヒリする。


閉じ込めた感情が、胸の奥で騒ぎ出す。


その気持ちをなだめるために、あたしは小さく深呼吸する。


きっと、今だけ。


だから、大丈夫。


「サーブ練習しようよ!」


雄平に背を向けるようにして、あたしは隣のコートに立った。