きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




ぐいっと腕を掴んだのは、千葉だった。


あたしは車道に飛び出そうとしていた。


すぐ目の前をかすめるように車が一台通り過ぎて、背筋が凍る。


足から力が抜けて、崩れ落ちそうになるのを、千葉が支えてくれた。


「あのキーホルダーだな。ここで待ってろ」


ここから動かないようにと念を押してから、千葉は車が途切れたタイミングを見計らって、車道に落ちた鈴を拾った。


「よかった、轢かれてないな」


千葉が鈴を振ると、今までと同じ、チリンという涼しげな音が鳴った。


それをあたしの手のひらに乗せる。


少し傷がついて金色がはげているけれど、無事に戻ってきてくれた。


ぎゅっと握りしめて、胸に抱く。


「大事なものなんだな」


大事な…?


そう、大切な…


とても、とても、大切な…


目から涙がこぼれ落ち、足元のアスファルトに染みができていく。


あたしは馬鹿だ。


どうして気付けなかったのだろう。


「千葉…ごめん…!」


今更気付いたって、遅いのに。


「あたし、雄平のこと、好き…」


こんな鈴を、必死になって追いかけてしまうほどに。


雄平のことが、とても、とても、好きだった。


気付かないなんて、馬鹿だ。