駅に到着し、ふらふらとバスを降りる。
バスの下の荷物入れから出されたバッグの山の中から、自分のものを探す。
「これ、お前のだろ」
千葉があたしのバッグを持って、隣に立っていた。
初日に持ってくれたから、覚えていてくれたらしい。
「ありがと…」
受け取ろうと手を伸ばすと、千葉はバッグごとその手を引っ込める。
「どうした?熱あるんじゃないのか?顔赤いし、汗かいてる」
額に触れると、じっとりとしていた。
「あれ、どうしたんだろ」
笑いながらポケットからハンカチを取り出す。
その時、背後で金属音を聞いた。
チリン…
心臓が、ぎゅっと縮み上がる。
振り返ると、小さな金色が目に飛び込んできた。
あたしの、雄平の、鈴。
夏祭りの日、雄平があたしにくれた時から、ずっと、肌身離さず持っていた、あたしのお守り。
雄平が、昨日のように、あたしを見つけてくれるための目印。
その金色の鈴が、坂道を転がっていく。
チリン、チリンと軽い音を響かせながら。
「あっ…待って!」
あたしは必死になって追いかけた。
やだ、行かないで、行かないで。
行かないで…
雄平!



