きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




ぼんやりした頭で、最終日の朝を迎えた。


香織とは何度か話したけれど、肝心なことには触れていない。


荷物をまとめたり帰り支度をしたり、最後にもう一度旅館の土産店を見たり、バタバタとしていたことに救われた。


「杏奈、具合悪そう。大丈夫?」


帰りのバスの中、香織が心配そうにあたしの顔を覗き込む。


あたしはまだ香織の目を直視できないでいた。


この後、バスで駅まで行き、その後、電車に乗ることになっていたので、


「ん…駅まで寝る」


座席の背もたれに体を預けて、目を閉じた。


「辛くなったら言ってね」


香織はそう言ってくれた。


香織はこんなに優しいのに。


あたしは香織が大好きなのに。


雄平と香織が結ばれてうれしいはずなのに、こんなにも動揺している自分が嫌になる。


そして、その動揺を隠すこともできない自分の子供っぽさが嫌になる。


涙がにじんできそうになって、目をぎゅっとつむった。