きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




ふいに、廊下の向こう側から、数人の女子の笑い声が聞こえて、我に返る。


そろそろ部屋に戻ろうと、もと来た廊下を歩き始めた。


さっき通った時は気付かなかったのに、どうして今気付いてしまったのだろう。


まっすぐ前を見て歩いていればよかったのに。


通路が分かれる場所で、意味もなく左を振り返ってしまった。


その先には、男女のカップルがいた。


寄り添うようにして立っている、二人の後ろ姿。


遠目にも、誰なのかはすぐにわかってしまった。


あまりに身近な二人。


香織と、雄平。


二人は、手を繋いでいた。


そして、顔を寄せたように見えた。


次の瞬間、あたしは目をそらし、部屋の方へ向かって駆け出していた。


「よかった、香織、よかった」


スリッパが脱げそうになって、足取りがおかしくなる。


それでも立ち止まるわけにはいかなかった。


二人から、少しでも遠くに離れたかった。


「よかった…」


口で言うのは簡単なのに。


「よかったね、香織…」


大好きな親友の恋が実ったのに。


あたしの心は、泣いていた。