きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




「あたし、雄平君に告白してくる」


夕食の後、突然、香織がそう言い出した。


あたしは香織をぎゅっと抱きしめる。


まるで、自分の痛む心を抱きしめているようだった。


「香織、がんばれ」


そう口にして、確認する。


あたしは、香織を応援しているということを。


香織は少し緊張した面持ちで頷いた。





「あれ?香織は?」


旅館の売店に行っていた美保と恵が、部屋に戻ってきた。


「先にお風呂行っててって」


美保と恵は、香織が雄平を好きなことは知らない。


けれど、なんとなく勘付いているようで、ニヤニヤしながらお風呂に出かけていった。


あたしは部屋で香織を待ったけれど、どうにも落ち着かず、鍵をかけて部屋を出た。


タイル貼りの廊下に、パタン、パタンとスリッパの音が響く。


他の部屋から、楽しげな話声が聞こえた。


長い廊下を、ゆっくりと歩く。


部屋が並んでいる場所を抜けると、隣の建屋への渡り廊下にさしかかった。


大きな窓から、外の景色が見えた。


他の旅館の灯りや、遠くに見下ろす街の光が綺麗で、しばらく見とれていた。