「あたし、雄平君に告白してくる」
夕食の後、突然、香織がそう言い出した。
あたしは香織をぎゅっと抱きしめる。
まるで、自分の痛む心を抱きしめているようだった。
「香織、がんばれ」
そう口にして、確認する。
あたしは、香織を応援しているということを。
香織は少し緊張した面持ちで頷いた。
「あれ?香織は?」
旅館の売店に行っていた美保と恵が、部屋に戻ってきた。
「先にお風呂行っててって」
美保と恵は、香織が雄平を好きなことは知らない。
けれど、なんとなく勘付いているようで、ニヤニヤしながらお風呂に出かけていった。
あたしは部屋で香織を待ったけれど、どうにも落ち着かず、鍵をかけて部屋を出た。
タイル貼りの廊下に、パタン、パタンとスリッパの音が響く。
他の部屋から、楽しげな話声が聞こえた。
長い廊下を、ゆっくりと歩く。
部屋が並んでいる場所を抜けると、隣の建屋への渡り廊下にさしかかった。
大きな窓から、外の景色が見えた。
他の旅館の灯りや、遠くに見下ろす街の光が綺麗で、しばらく見とれていた。



