きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




気分を落ち着かせようとしたのか、無意識にポケットの中に手を入れて、「お守り」に触れていた。


ひんやりとした感覚と共に、くぐもった鈴の音が聞こえる。


取り出して、振ってみる。


赤い紐のついた、犬の形の金色の鈴。


夏祭りの日、雄平があたしにくれたものだ。


チリン…チリン…


優しい音が響いて、少し気分が落ち着くのを感じた。


雄平…。


無意識に、心が雄平の名を呼ぶ。


『どこにいても見つけられるな』


そう言ってくれた雄平。


本当に、見つけてくれる?


チリン…


何度か音を鳴らすけれど、そんな自分の行動をおかしく思って、小さく笑う。


聞こえるわけがないのに。


それを認めてしまったら、急に泣きそうになった。


あたしはどこかで信じていたのかもしれない。


いつも、いつまでも、雄平と一緒にいられると。


雄平は、あたしにとって一番近い男の子で、あたしは、雄平にとって一番近い女の子。


その関係が、ずっと続くと思っていた。


でもそれが変わろうとしている。


あたしはきっと千葉と付き合うだろう。


そして雄平は、香織と…。


いつまでも変わらない関係など、きっと存在しない。


いつか、雄平にとっての一番近い女の子が、あたしではなくなる。


鈴を鳴らしたって、雄平はあたしを探してくれなくなる。


それは、避けられない現実。


こんな鈴に、何の意味もない。