千葉の彼女になる人は、きっと幸せだろうと、前から思っていた。
千葉のさりげない優しさは、女の子を喜ばせる。
あたしは、千葉と一緒にいるのを心地良く感じていた。
話していて楽しいし、優しくしてくれるし、時にはドキドキさせてくれる。
きっと、もっと一緒にいたら、今よりずっと好きになる。
そう思うのなら、付き合う?
でも、今、好きだとはっきり言えないのなら、付き合うべきじゃない?
好きになってからでも、遅くはないのかもしれない。
でも、千葉は待っていてくれるだろうか。
そんなことを思ったあたしは、千葉と、本気で付き合いたいと思っているのだろうか。
わからない。
答えなんて出るのだろうか。
簡単に付き合ってしまうこともできる。
でも、あんなにも真剣にあたしを想ってくれている千葉に対して、いい加減な気持ちで向き合いたくない。
どうしたらいいのだろう。
「杏奈、大丈夫?泣きそうな顔してるよ」
部屋で出迎えてくれた香織の手が優しく肩に触れて、自分の中でぐるぐると回っていた感情が、あふれ出した。
「香織、どうしたらいいのか、わかんない…」
あたしは香織の小さな肩に、顔をうずめた。



