ドキドキしすぎて、苦しかった。
昨日の夜、一緒に布団の中に隠れていた時よりずっと、ドキドキする。
千葉の視線に耐えかねて、あたしは顔を下に向けて、目をぎゅっと閉じて言う。
「あたし…千葉のことそういうふうに考えたことなくて…ごめん…」
千葉にとって辛い言葉なのに、優しい声色のまま、
「仕方ねーよ。でも今からそういうふうに見てくれればいい。なぁ、一回本気で考えてみてくれないか?」
そっと、言う。
あたしはもう一度、千葉と目を合わせる。
「頼む…」
その目があまりに真剣で、
「うん…」
あたしは自然と頷いていた。
「…ごめんな、急に」
そう言うと、千葉はジュースを飲み干して、ゴミ箱に缶を捨てた。
あたしもそれに習う。
「部屋、戻るか」
千葉はいつもの、ちょっとクールな表情に戻っていた。
千葉の大きな背中を見ながら、考える。
あたしは千葉と、本気で考えると約束した。
今までみたいに、断るのが当然というのではなく、千葉と付き合うことについて、考えるということだ。
千葉のことは、好きだ。
でも、それを恋だと思ったことはなかった。
恋って、何?
千葉のことは、男の人として見ているつもりだ。
だって、見つめられるだけで、ドキドキする。
それは、恋?



