小宮は恵のことを、好きになりかけていると言った。
恵は小宮のことが好き。
だったら、どうしてうまくいかなかったの?
「どうして、『忘れて』…なんて言ったの?」
「俺…最低だよ。あいつの気持ち、試そうとしてたんだと思う。『忘れて』って言ったら、あいつ、笑って『うん』って言うんだもんな」
違う。
「ショックだった。その顔見た時、思った。なんだ、こいつにとって、その程度のことだったんだ…って」
違うよ。
恵は、大好きな小宮が『忘れて』と言ったから、それを受け入れた。
本当は、忘れることなんてできない、大切な出来事だったのに、笑って頷くしかなかった。
二人は、すれ違っていただけなんだ。
目の前の霧が、ぱっと晴れたような気分だった。
あたしは小宮の腕をつかんで、言う。
「恵に、ちゃんと話してくれないかな。大丈夫。うまくいくから、絶対」
お願い。
思い合っているのに、すれ違ったままなんて、悲しすぎる。



