その日の夜、夕食の会場から部屋に戻ろうとしていると、千葉があたしを呼んだ。
隣には小宮がいる。
千葉が、小宮と話す機会を作ってくれたんだ。
香織にだけ耳打ちして、この後のお風呂には、みんなで先に行っていてもらうように伝える。
千葉と別れて、小宮と二人で、ひと気のない奥まった場所に移動した。
自動販売機が二台並んでいて、うなるような音が鳴っている。
足元に視線を落としたままの小宮に、単刀直入に問う。
「恵のこと、好きじゃないの?」
小宮は顔を上げて、あたしの目を見た。
そして、耳を疑うことを言った。
「…辛いもんだな。好きだった女に、そういうこと聞かれるのって」
言葉が、出なかった。
好きだった女?
小宮が、あたしを?
「そんな困るなよ。過去形だろ」
小宮は小さく笑い、壁にもたれた。
「今はあいつのこと、好きになりかけてる。さすがに、好きでもない女にキスはしない。…って、このこと、あいつから聞いてるんだよな?」
自分の発言に慌てる小宮に、あたしは小さく頷く。
「…ちょっと待って、だったら」
頭の中が整理されてくると、矛盾に気付く。



