宮下香織。
同じクラスになるのは初めてだから知らなかった、のは、あたしだけだった。
久しぶりに集まった仲良し四人組。
「知ってる。かわいい子だよね」
みんな宮下さんのことを知っていた。
「男子に人気あるよね。守ってあげたいタイプ」
三人揃ってうんうんと頷くので、
「でもさ、そういう子、実は性格が悪いってパターンが多いよね」
あたしは試すように問うけれど、
「あの子に限って、それはないね。前に委員会で一緒になったけど、優しくて良い子だったよ」
宮下さんの評判は上々だった。
「しょっちゅう告られてるのに、適当につきあったりしないもんね。全員が全員、玉砕してるらしい」
「でも、なんで彼氏作らないんだろ?」
「あーなんか、去年卒業した先輩とずっと付き合ってるって噂あるよね」
「そういうの憧れるー」
なるほど、そこまでモテると、嫉妬を通り越して憧れの対象になるのか。
なんかうさんくさいかもって思ったあたし、歪んでるかも。