きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




それからすぐに、恵は涙を拭いて、気丈に振る舞っていた。


小宮とは当然距離を取って、目も合わせなかったけれど、グループの雰囲気が悪くならないようにと必死になっているのがわかり、胸が痛んだ。


恵は強い。


そんな強さを持っていても、踏み出せなかった一歩の重みを思い知る。


あたしは恵の目を盗んで、小宮に話しかけた。


「後で話あるんだけど」


一瞬おびえた顔をした小宮は、あたしが何を言いたいかわかっているようだった。


でも、


「あいつのことだったら、遠慮しとく」


不機嫌な顔をして、そう言った。


その態度に、カチンとくる。


「恵のこと傷付けといて、何なの、その態度」


「は?傷付いたのはこっちだっつの」


小宮が傷付いた?


どういうこと?


「ストップ」


千葉が間に入ってきて、


「これ以上、ここではやめろ」


声を押し殺すようにして言い、はっとする。


このままだと、他のみんなに気付かれてしまう。


「じゃあ、後で」


そう言うと、


「話すことなんてねぇし」


小宮は態度を変えない。


「小宮、落ち着けって。伊田、こいつのことは俺にまかせろ。後で連れてくから」


千葉のおかげで、その場は丸くおさまった。