それからすぐに、恵は涙を拭いて、気丈に振る舞っていた。
小宮とは当然距離を取って、目も合わせなかったけれど、グループの雰囲気が悪くならないようにと必死になっているのがわかり、胸が痛んだ。
恵は強い。
そんな強さを持っていても、踏み出せなかった一歩の重みを思い知る。
あたしは恵の目を盗んで、小宮に話しかけた。
「後で話あるんだけど」
一瞬おびえた顔をした小宮は、あたしが何を言いたいかわかっているようだった。
でも、
「あいつのことだったら、遠慮しとく」
不機嫌な顔をして、そう言った。
その態度に、カチンとくる。
「恵のこと傷付けといて、何なの、その態度」
「は?傷付いたのはこっちだっつの」
小宮が傷付いた?
どういうこと?
「ストップ」
千葉が間に入ってきて、
「これ以上、ここではやめろ」
声を押し殺すようにして言い、はっとする。
このままだと、他のみんなに気付かれてしまう。
「じゃあ、後で」
そう言うと、
「話すことなんてねぇし」
小宮は態度を変えない。
「小宮、落ち着けって。伊田、こいつのことは俺にまかせろ。後で連れてくから」
千葉のおかげで、その場は丸くおさまった。



