きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




あたしは、混乱していた。


『忘れて』が、どうして『好きじゃない』ということなのか。


恵がどうして告白できないのか。


納得できない。


小宮が『忘れて』と言っても、恵の気持ちに変わりはないはずなのに。


「杏奈には、わかんないよ…」


恵は、あたしを見て、ぽつりと言う。


その目からは怒りが消えて、代わりに、失望したような、呆れたような、悲しげな色をたたえていた。


その瞬間、心臓をぎゅっとつかまれたように、胸が苦しくなった。


あたしはこの時、恵の傷の深さを、初めて理解した。


小宮に『忘れて』と言われたことが、どれだけ辛かったか。


告白できなかったことが、どれだけ悲しかったか。


そして、傷口に塩をすり込むような、あたしの言葉の残酷さを。


恵の気持ちを理解できたわけではないけれど、恵がひどく傷付いて、そしてあたしの言動がそれに拍車をかけたことは、よくわかった。


「杏奈なら、告白できたかもしれないけど、あたしは無理だよ…」


恵は、視線を落として小さく言う。


「ごめん、いっぱい協力してくれたのに。八つ当たりだよね…」


あたしは、何も言えなかった。