実は大富豪のルールを熟知しているあたしは、千葉の説明に生返事しながら、恵達ばかり見ていた。
勘のいい千葉は、すぐにそれに気付く。
「おい、伊田。やり方知ってるだろ」
耳元でこっそりとそう聞いてくる千葉。
「バレた?」
へへっと笑ってごまかす。
みんなの前で問いただしたりしないところが、千葉のいいところだ。
「もしかして、あの二人をくっつけようとしてるわけ?」
目だけで、小宮と恵を指す。
「それもバレてた?」
男子に知られたなんて言ったら、恵に怒られてしまう。
まあ、千葉なら誰にも言わないでくれるだろうから、心配はないけれど。
千葉はニヤニヤしながら、
「ふうん」
とだけ言う。
なんだか、意味深。
もしかして、
「小宮って…」
言いかけるけれど、それ以上を言わせない千葉。
「それは俺の口からは言えないなぁ」
でも、顔ではちゃんと言ってる。
小宮は恵のことが好きなんだ。
すごい、両思いだなんて。
自分のことのようにうれしくなってくる。
早く告白して、恋人同士になれるといいのに。
修学旅行中に、どうにか恵に告白させたい。
どうすればいいだろうと思案していると、廊下から声が聞こえてきた。
「消灯時間過ぎてるぞー!」



