中学校三年生の春は、特別だ。 来年になれば卒業して散り散りになってしまうみんなとの、最後にして最高の思い出を作るための一年間、それをどう過ごせるかは、この運命の瞬間にかかっている。 始業式の朝、クラス発表。 仲良しの子とは、絶対同じクラスになりたい。 だから、必死の思いで祈っていた。 それなのに。 「なんであたしだけ違うクラスなのよー!」 新しいクラスの名簿が張り出された掲示板の前。 あたし、伊田杏奈の絶叫が、響いた。