1月の終わり頃。



「で、できた………!」



ついに、マフラーが完成した!


予定していたより、もう少し長く作ってみた。



初めて編んだわりには上手くできたと思う。

普通に使えそうだもん!



試しに自分に巻いてみる。


…あったかい。



なんだか嬉しくなってきた。



「お母さん、見て見て!」


階段を駆け下りて、お母さんに完成したマフラーを見せた。



「なかなか上手にできたじゃない」

「でしょ!」

「また最近急に編み始めて、もしかして水原くんとより戻したの?」

「…違う」



浮かれてた気持ちが少し沈む。



「あんたこの前まで死んだような顔してたのに、最近は生き生きしてるじゃない。ご飯もよく食べるし」



最近は前向きに考えられるようになったから、この前よりもたしかに生き生きしてる。


やっぱり、お母さんには分かるんだな…。



「水原くん、本当にいい子だったわよね、顔もいいし礼儀正しくて。あんたがどうやって捕まえてきたのか不思議で仕方なかったもの」

「別に捕まえたわけじゃないってば!」



わたしが怒っても、お母さんはニコニコしている。


「まあどっちにしろ、お母さん、水原くんには感謝してるのよ?」

「え?」

「紗奈のことを好きになってくれて、紗奈に楽しい時間と思い出をくれて。もし上手くいかなくても、それだけは変わらないから」


…そうだ。



水原くんに振られたとしても、水原くんと過ごした時間はすごく楽しかった。

わたしの大切な思い出。


それだけは、変わらない。



水原くんに感謝してる。



「精一杯、がんばりなさいね」

「うん!」



わたしはまた自分の部屋に戻って、マフラーのラッピングをした。