相変わらずの日々が過ぎていく。



最近、放課後に球技大会の練習があるようになった。


わたしは千夏ちゃんとテニスの練習をするけど、相手のコートに打ち返すのがなかなかできない。


千夏ちゃんは上手なのに……。




練習が終わって、千夏ちゃんと帰る途中、グラウンドが目に入る。




「あそこでサッカーやってるの、あたしたちのクラスだよね。…あ!健だ!」


西野くんが身軽にボールを運んでいる。

そしてパス!

…した先には……



「…水原くん」



西野くんのボールを受け取って、水原くんがシュートした。


すごい。



サッカーを詳しく知らなくても、すごいシュートしたって分かる。



「やっぱり水原くんてカッコイイよねー!」


近くで、女の子の声が聞こえる。



チラッと見ると、別のクラスの女の子たちが楽しそうに話していた。



「そういえば今日ミユが水原くんに告白するって言ってたよ」

「えーマジ!?でもミユなら可愛いからイケるかもねー」

「でもショックー!水原くんはみんなのものじゃんー」



…実は、こんな会話を聞くのは、初めてのことじゃない。


球技大会の練習が始まってから、水原くんは余計目立つようになった。



いつ、誰かと付き合ってもおかしくない状況だ。



「当日は水原くん見に行こうよ!」

「もちろん!自分のクラスそっちのけで応援しちゃう!」



女の子たちは笑いながら歩いていった。



「…紗奈ちゃん……」


千夏ちゃんが心配そうな顔でこっちを見つめる。

わたしは、思いっきり笑顔を見せた。



「大丈夫だよ!帰ろ!」


そう言うと、千夏ちゃんも笑ってくれた。



大丈夫、わたしはわたしで、やれるだけのことをするんだ。