ガサッ。
背後で枯れ葉と砂利を踏む音がした。
えっ、誰!?
こんな姿見られたら最悪っ!
反射的に振り返ると、誰かが立っている。
わたしより背が高い。男の子かな。
「あ、あの・・・」
その人はおもむろに口を開いた。
大声で泣いている女に遭遇してしまった。どうしよう。というところだろうか。
こんな状態で何か答えることもできず、わたしは立ち上がってその場を立ち去ろうとした。
「え!?ちょっと・・・」
その人は引きとめようとしてるみたい。
でも、こんな姿、とてもじゃないけど人に見せられないよ。
もう暗くなりかけてるし、今帰っちゃえばわたしが誰かもバレない。
早くここから離れよう。
「・・・待って!雪川紗奈さん・・・っ!」
・・・え!?なんでわたしの名前知ってるの!?
大声あげて泣いてたのわたしだってバレちゃってるじゃん・・・!
その人はわたしの方へ近づいてきて、手を伸ばせば届いちゃいそうなところで止まった。
やっぱり男の子だ。
薄暗くてはっきりは見えないけど、学ランを着てるのは分かる。
つやつやした黒髪に澄んだ目。その澄んだ目でじっとわたしを見つめた。
すごく透き通った綺麗な目・・・。
まるで目から心の中まで透けて見えちゃいそう・・・。
「俺、水原透(ミズハラトオル)っていうんだけど・・・」
わたしのクラスじゃない。聞いたことないな。もしかしたら他の学年?
というより、なんで急に自己紹介?
すこしびっくりしていたけど、わたしはそのあともっとびっくりすることになった。
「雪川さん、俺・・・あなたのことが好きです・・・っ!」
・・・なあに?
今、なんて・・・?
わたしは何が起こったのか、よく分からなかった。

