「そういえばさ」


水原くんは何か思い出したようだ。


「なに?」


水原くんは雪を見ながら言った。



「もうすぐクリスマスだよね」


…そういえば、もう12月。

もうじきクリスマスがやってくる。



「クリスマス、一緒に過ごしたいね」


水原くんがこっちを見て微笑む。

…ずるい。


ドキドキしてきた。



「でもさ、俺彼女とクリスマス過ごしたことないからどうしていいかわかんないや。普通は何して過ごすの?」


…普通は何して過ごすか?

分からない。



「分からない。わたしだって彼氏と過ごしたことないから」



去年、クリスマスの時期は中谷と付き合っていた。

でも、クリスマスもイブも一緒に過ごしてない。


もちろんわたしは予定を空けていた。

でも中谷は…違った。



好きなバンドのライブがあるとかで、クリスマスもイブも友達と出かけちゃった。



特に文句なんか言わなかったけど、少しさみしかったな…。



わたしが思い出して考え込んでるのに気付いたのか、水原くんは手をぎゅっと握った。



「じゃあさ、クリスマス過ごすの俺とが初めてなんだね!嬉しい!」



水原くんがニコッと笑った。


水原くんの笑顔は暗い気持ちなんかすぐに吹き飛ばしちゃう。

不思議だな。



「わたしね、クリスマスは街のイルミネーション見に行きたいな!」

「そうなんだ、じゃあ見に行こうよ」



わたしたちはクリスマスの話をしながら、手を繋いで、楽しく歩いた。



一緒に過ごすクリスマスなんて来ないことも知らずに。