街は私の目にはすっごく明るく見えた。

私は髪の色を明るい茶に染めて毎日毎日、夜の街へと出掛けてはまだ中学生なのにお酒や煙草を吸ったりもした。

最初は楽しくもなったし友達もできて一緒に遊んだりもした。

でも…でも、私の心の中は暗いままだった。

それから、私は夜、街に出掛ける時いつも思うようになった。
私はこのままでいいのかな?
こんな家族にも見放された私でも前のようになれるんじゃないかな

って…

私はある日勇気を出して親に言ってみた。

「私…転校したい…。」

お父さんもお母さんも少し驚いてた。

当たり前だよね。こんな私が急に転校したいなんて…

お父さんが口を開いた。

「転校してどうするんだ?」

私は真っ直ぐ目を逸らさずに今の気持ちを言う。

「私、ちゃんと髪の色戻して新しい学校でもう一度やり直してみたいの。」

しばらく私とお父さんとの間に沈黙が続いた。

お母さんは黙ったままだった。

1時間…2時間と時間が過ぎていく。

その沈黙を破ったのはお母さんだった。

「…お父さん…璃奈に…もう一回チャンスをあげてみない?」

お母さん!

私はその言葉に涙がこぼれ落ちそうだった。
でも、その涙を必死に抑えた。


お父さんはお母さんにむけて少し苦笑いして言った。

「…そうだな。」

お父さんは私のほうに向かいなおし真剣な表情で言った。

「わかった。璃奈、今回だけだぞ?また、同じような事になっても私たちは責任を持たないからな。親といっても全部面倒を見るわけじゃない。自分のことは自分で解決する事、わかったな?」

私は大きく頷いてみせた。

「よし」

私が頷いたとたんお父さんはいつもの優しい笑顔をしてくれた。
お母さんも笑って私の頭を撫でてくれた。

こんなに暖かい気持ちになったのは久しぶりだな。
話してよかった。心の底からそう思った。


そして、私は髪を染め直し夜の街にも行かなくなった。

これから、私はもう一度、確かな道を歩きだした。