私は首を振った。

「いません」

「あの、よかったら俺と付き合ってくれませんか?絶対幸せにしますから」

 絶対幸せにする。

 その言葉は奏太にも幸助にも言われた言葉だった。

 私は首を振った。

「ごめんなさい。私、しばらくは恋とかしたくないんで」

「そうですか」

 男子高校生は肩を落として歩いていく。

 私はその背中に

「午後の授業頑張ってね!」

 と声をかけた。


 まだ心に残った傷は深いけれど、きっといつか笑える日が来る。

 その日まで、私はもう泣かない。


END