奏太のお母さんは首を振って顔を手で覆った。

「そうだ、家に上がってちょうだい」

 奏太のお母さんに招かれ、私は家に上がった。

「お邪魔しまーす…」

 中に入ると、仏壇が目に留まった。

 奏太のかな、って思ったけど、違った。

「…あぁ、それ?」

 私が仏壇を凝視しているのに気付いて、奏太のお母さんが仏壇を見た。

「え?」

「それね、私の夫のよ。奏太みたいに若い頃に死んじゃったの」

 私は奏太の実家で、奏太のお母さんと暫く喋った。

「あら、もうこんな時間ね。こんな時間まで引き留めてしまってごめんなさい。そういえば、ここには何の用事でいらしたの?」

 私は口を開いた。