悪気なし、って感じでお兄ちゃんが謝る。

「で、なんか用?」

 私は幸助に聞いた。

「用がなきゃ、電話しちゃダメか?」

 幸助が真面目な口調で言う。

「え…?」

「いや、用はあるよ?」

「何の用?」

「今から会えない?そこで話すよ」

 私はお兄ちゃんを見た。

 お兄ちゃんはオッケーマークを作ってる。

 何がオッケーなんだか。

「わかった。どこに行けばいい?」

「そうこなくっちゃ!じゃあ、俺が働いてる店まで来て!」

 わかった、そう返事して私は店を出た。

 後ろでお兄ちゃんが「デート?」って聞いてきたけど、私は気にしなかった。