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「で、話ってなんだ」

 休憩時間、父さんが切り出した。

 私、疑問だったことがあるの。

 奏太がいた頃は、全然気にしてなかったけど、奏太を失った今では、急にそのことが気になりだした。

「六年前、母さんが死んだでしょ?」

 私の言葉に父さんは戸惑った顔で小さく頷いた。

「父さんは母さんが死んだ日も、仕事ばかりしてた!なんでなの!?母さんの葬式にも参加しなかった!父さんは、母さんのこと本当に好きだったの!?大事だったの!?」

 静かに聞くつもりだったのに、一言切り出した途端、抑えていた感情が一度に溢れだした。

「海」

「きっと母さんは、不幸せだったんだろうなぁ…夫に最期さえも看取ってもらえずに!」

 そう叫んだ私の頬を、父さんがぶった。