「でもさ、海?今くらいは楽しんだっていいんじゃないか?死んだ奏太のために一生独身でいるとか、楽しんじゃいけないとかって考え方もあるとは思う。けど今くらいはせめて楽しめよ」

 幸助はそう言って、立ち去って行った。

「…ありがと」

 人ごみに見えなくなっていく幸助の背中に私はそっと囁いた。