医者が悪くないことは知ってる。

 でも、誰かを責めてないと、自分でいられなくなるような気がした。

「海」

 お兄ちゃんの声で、私は口を閉ざした。

「オマエの気持ちもわからなくはない」

「お兄ちゃんに、何がわかるの!?恋人を亡くしたことなんか、ないくせに!」

「だけど、大切な人を失った苦しみは、俺だってわかってる!」

「…」

――ありがとう。

 その言葉を聞いたのは、今日が初めてじゃない。

 前にも、一度ある。