「じゃん!」 奏太が取り出したのは、紺色の小さな箱。 「それ、なぁに?」 「…鈍いなお前」 奏太が、少しあきれ顔で、言った。 「自覚してまぁす」 「よろしい…――って、そういう話がしたいんじゃなくて!」 奏太が、話を中断した。 それから、彼は何回も深呼吸して。 「俺と、結婚してくれ」 聞き間違いかと思った。 「え?」