キスから始まる魔法

 その声がゆっくりと落ち着いているもんだから、思わず返してしまった。


 「おはよ……ってあんた!!」


 朝からこの整った顔立ちを見るのは慣れていない。
 

 寝ぼけ眼な私の顔とは月とすっぽんだ。


 「うーん。酷い顔だね」
 

 「余計なお世話です……」


 俯きながら、ぼそりと話す。
 

 「姿勢が悪いし……もっと前みなよ」


 そう言って、くいっと指で顎を持ち上げられた。
 

 「ちょっ……やめてください」
 

 「じっとしてないと、キスするよ」