初日は各々の自己紹介と委員諸々を決めて、13時には下校となった。

 咲は寮生らしく、昇降口の前で名残惜しそうにする咲と別れて帰路についた。


―――・・・


 なんか居る。というか何故居る?


「おかえり世利」

「世奈兄・・・? あれ、確か昨日京都に行ったよね?」

「ちょっとワスレモノをな。明日の朝にはまた出るよ」


 宇佐美世奈〈せな〉。あたしの高校入学と同時に京都の大学に進学した兄。
 将来は会計士になりたいとかなんとか。

 そして、


「明日から世利に会えないのかと思うと泣きたくなるよ・・・。世利も京都に連れて行きたい」


 筋金入りのシスコン。


「いい年して何言ってんの」

「最近世利冷たいよね」

「そんな事ないと思う」

「昔はお兄ちゃんと結婚するって言ってたのに」

「何年前の話してるのよ! あ、メール」


 スマートフォンの画面に表示されていたのは、さっき別れ際に連絡先を交換した咲の名前。


『明日交流学会の班決めるらしいから一緒の班になろうね』

 というメールに、『うん』と返事をして携帯電話をポケットに仕舞った。