退屈・・・。流石進学校なだけあって学館長の話も難しいし。これを理解してるなんて周りの人達は凄い。まぁ最初から頭の出来が違うもんね。
講堂の中の時計は10時20分を示していた。
確か案内書によると入学式は9時から10時30分までって書いてあった筈。あと少しかぁ。
「お前、もしかして名もない中学から出てきたわけ?」
目線は前を向いたまま、声はあたしにしか届かないくらいの小声、刺さるようなそんな言葉を出したのは、右隣に座っているサハラ君。
「なんとなく、そんな感じする」
「えっと・・・内緒にしてくれたら嬉しいかな」
「この学校を外部受験する奴等はそれなりの学歴か家柄を持ってる。お前は何を持ってるわけ?」
「・・・」
なんか怒ってらっしゃる・・・。
「何を隠してんの?」
「・・・隠してるわけじゃないよ。あたしにも分からないだけ」
「は?」
「あたしをこの学校に入学させたのは祖母。理由は分からない」
「ふーん」
ふーんじゃないよ! というかサハラ君笑ってるし。
ああ頭痛い。
―――・・・
もんもんとしていた講堂を出ると、さっきまで隣に座っていたサハラ君の後ろ姿を発見した。
なにやらお友達と楽しく談笑中らしい。
1年C組――あたしのクラス。さっき発表された。
教室の場所が分からないので周りの生徒達についていこうという算段。
講堂も凄かったけど、本館の中も凄い。
下から天井まで伸びる大きな窓がいくつも並んでいて、そのお洒落な造りにうっとりしてしまう。
廊下の床って大理石だよね・・・? こんな所あたしなんかが歩いていいのだろうか。
