次々と講堂に入っていく紫色と紅藤色の制服を身に纏った新入生達。見るからにお坊っちゃまお嬢様方達。
はぁ・・・。
国会議事堂・・・じゃなくて講堂に入り、案内書に表記されていた自分の席を探して座る。
左隣は空席。右隣には、見た目御曹司には見えない明るい茶髪の男の子。
隣って事は同じクラスの子かな。
・・・は! 今の内に友達を作っておかなくちゃ。チャンスを逃すと唯でさえ身分が違うのに輪に入れなくなる・・・!
「あの、えっと・・・」
しどろもどろのあたしを不審な目で見てくる右隣の彼。
よく見るとこの人、目も髪と同じ色してる。もしかしたらこの茶髪は地毛なのかもしれない。
「何か用?」
「あ、はい。名前聞いてもいい?」
「サハラ・・・」
「サハラ君ね。あたし宇佐美世利っていうの」
「兎・・・?」
「宇佐美! サハラ君って中学も有紫?」
「ああ」
「いつから?」
「幼等部から」
やっぱりサハラ君も正真正銘のお坊っちゃま・・・!
「あ、あたしは外部受験なの」
「外部? 灯果か星女?」
両方共お金持ち中学校じゃん・・・。
「何?」
「・・・ううん別に」
この学校にはついていけないと改めて思い知ったその時には、眠くなる入学式も始まっていた。
