「もう諦めるしかないわね世利ちゃん」

「・・・お母さんの鬼」


―――・・・


 はぁ・・・。エリート中のエリート、私立有紫学館。あたし間違いなく場違いでしょ。一般ピーポーなのに。


 ひらひらと桜の花弁が舞う中、割と家から近い有紫学館高等部の校門前に仁王立ちしてみる。

 8時30分。もうそろそろ入学式が始まる。
 有紫学館は、登校したら直接入学式の会場である講堂に向かうらしい。そのまま学館長の有難いお話を聞いて、やっと自分のクラスに行ける。


 カサッと春休み中に郵送されてきた案内書を鞄の中から出す。

 『私立有紫学館高等部 案内書。8時30分までに登校し、9時には講堂の中の表記された自分の席に着席しているようにして下さい。講堂の場所は、下記の校内案内図を参考にして下さい』

 えっと、この見取図によると、講堂は・・・右側かな?


 見取図を頼りに右側に進むと、ドイツの国会議事堂のような建物が現れて、思わず息を飲む。

 え、講堂ってこれ・・・? ここって日本ですよね? それとも異空間?
 お金持ちって凄いな。


「第52回私立有紫学館高等部入学式・・・」


 うん、会場はここで間違いない。