―――・・・


 何も見えなかった。何も。

 今分かるのは、有紫の男子生徒はさっきと同じ所に平然と立っていて、その目の前に居た男は随分離れた所に倒れているという事。


「ケホッ・・・くそっ」


 もしかして、やつけちゃったの? あの強そうな男に勝ったの?


「て、てめぇ・・・」

「今なら理解出来るか? 失せろ」

「つ・・・」


 ・・・凄い。この人強い。




「あの、助けて下さって有り難う御座いました」

「助けたつもりはないから。ああいう連中を見てるとイライラするからやった」

「それでも助かりました。有り難う御座います。何かお礼を・・・」

「礼はいらない。その代わり、今から俺についてきてもらう」

「へ・・・?」