私立有紫〈ゆうし〉学館高等部。

 あたし、宇佐美世利〈うさみせり〉が今日から通う学校でもある有紫学館は、幼等部、初等部、中等部、高等部、大学部から成る五編成の日本有数のエリート進学校。
 全寮制ではないものの、生徒数分の寮完備、完璧な授業設備、S級の講師や施設。
 厳選されたお金持ちの御曹司やお嬢様しか入る事の出来ない特別な学校である。

 つまり、あたしみたいな一般人には到底通えそうもない所。
 じゃあ何故って?

 あれは予想もしない母の突然の言葉。


―――・・・


「世利ちゃん。世利ちゃんが来年の春から通う高校はあの有紫学館よ」

「・・・は?」

「お父さんのお母様の事覚えてる?」

「何突然・・・」

「そのお母様がね、世利ちゃんには有紫学館に入学してほしいって仰ってるのよ」

「うちにはそんなお金ないじゃん」

「世利ちゃんはそんな事気にしなくていいのよ。ね?」


 いや、ね?って・・・。