俺の片恋ではない証を見て、素直に心は喜んだ。


展示ブースをプラプラと肩を並べて、俺と純名は歩いた。


「あ~っ…ラッコですよ♪…樋口係長」


「辰真でいいよ」


「で、でも・・・!?」


「今は社内じゃない…プライベートだ…それに人が多いし…手繋がないか?」


俺はさり気なく、手を握ろうと促す。


「いいですけど」


純名はおそるおそる俺の右手に手を伸ばす。
俺はパクッと餌に食いつくように手を伸ばし、純名の小さな手を握った。

ピクッとほんの僅かに純名の肩が震えた。

男慣れしてないのか?