「下がっていいよ…加西さん」


「はい」

終始、掠れ気味だった樋口さんの声は風邪から。

私が下がろうとした瞬間、急に咳き込み始めた。

「大丈夫ですか?樋口係長??」

「ん、あ…」

樋口さんは口許を手で押さえてブラインドに向かって、咳を続ける。


「咳だけがどうしても…長引いてしまって・・・」


「お茶…淹れてきます!」


「!?」

私は給湯室に走りこんだ。