「ままー!これあげる!」

「ありがとう」

そう私が言うと娘はぱっちりとした目を細めて笑った。

娘の結愛-ユア-からもらったのはハナミズキの小さな実だった。

私はそれを見ながら自然と笑みが漏れた。

「恵里-エリ-また読んでるの?」

私に話しかけてきたのは学生の時からの親友の真希-マキ-だ。

真希はいつだってそばにいてくれた唯一無二の存在。

「うん、これ読んでるとね、翔-カケル-が近くにいるような気がして、さ」

振り向かずにそう、返した。

でも、真希は優しく微笑んでくれているのを感じた。