……。
ローマの休日っていう映画を知ってるかい? かの有名なオードリー様の代表作な訳だが、その映画の中でのデートシーンに登場する手を入れたら抜けなくなってしまうというアレね。
これがね、日本にもあったんだな~。
俺の勤務した美術館……場所は秘密にしておこうか。今でも呪いがかかっているかもしれないしね。まあとにかく、そこで俺が働いたのは僅かに2週間だったんだけど、凄い奇妙な出来事に遭遇したんだ。
「おお石田君。今日もご苦労さんだねぇ」
ガードマン3日目で、早くも飽きてしまった俺に声をかけてきたのは館長の島田さんだ。
「あ、島田さん。これはどうも」
俺はありきたりな挨拶を返した。
島田さんは成金が高じて、世界各地から奇妙な美術品や骨董品を集め、この私設美術館を運営していた。見事に禿げ上がった寂しい頭とは対照的に、でっぷりと肥えた体が非常に印象的な気さくなおじさんだ。
「石田君。明日、また新しい作品が搬入されるから楽しみにしていてくれ」
「は、はあ。そうですか」
関心の薄い俺を微塵も気にする事無く、島田さんはニコニコ顔だ。
……はあ、しっかし、わからんね。金持ちっていうのは贅沢の限りを尽くしたからかな? よくもまあこんなガラクタにしか見えないものに大金を積むよ。
日給が高かったというのと、楽そうだからという理由でこの仕事を志望した俺には、美術館に存在するどの作品にも興味は湧かなかった。
「その作品はどんな物なんですか?」
これまた何気なく尋ねた俺だったが、島田さんは急に神妙な顔つきで黙った。
「……な、なんですか急に黙って。そ、そんなに凄いものなんですか?」
ローマの休日っていう映画を知ってるかい? かの有名なオードリー様の代表作な訳だが、その映画の中でのデートシーンに登場する手を入れたら抜けなくなってしまうというアレね。
これがね、日本にもあったんだな~。
俺の勤務した美術館……場所は秘密にしておこうか。今でも呪いがかかっているかもしれないしね。まあとにかく、そこで俺が働いたのは僅かに2週間だったんだけど、凄い奇妙な出来事に遭遇したんだ。
「おお石田君。今日もご苦労さんだねぇ」
ガードマン3日目で、早くも飽きてしまった俺に声をかけてきたのは館長の島田さんだ。
「あ、島田さん。これはどうも」
俺はありきたりな挨拶を返した。
島田さんは成金が高じて、世界各地から奇妙な美術品や骨董品を集め、この私設美術館を運営していた。見事に禿げ上がった寂しい頭とは対照的に、でっぷりと肥えた体が非常に印象的な気さくなおじさんだ。
「石田君。明日、また新しい作品が搬入されるから楽しみにしていてくれ」
「は、はあ。そうですか」
関心の薄い俺を微塵も気にする事無く、島田さんはニコニコ顔だ。
……はあ、しっかし、わからんね。金持ちっていうのは贅沢の限りを尽くしたからかな? よくもまあこんなガラクタにしか見えないものに大金を積むよ。
日給が高かったというのと、楽そうだからという理由でこの仕事を志望した俺には、美術館に存在するどの作品にも興味は湧かなかった。
「その作品はどんな物なんですか?」
これまた何気なく尋ねた俺だったが、島田さんは急に神妙な顔つきで黙った。
「……な、なんですか急に黙って。そ、そんなに凄いものなんですか?」

