第64話 『真実の口』 語り手 石田徹
続いての話は徹さんだ。マグロ拾いに続いての話はどんな話なのか非常に興味深いものだ。
「さて、今度は何を話そうかな……まあ色々あるけど、今度は俺が美術館で体験した話ををしようか」
徹さんは短大を卒業後、ドラッグストアに就職したものの僅かに1年で退職し、最初の転職先として美術館のガードマンを短期でやったらしい。
「美術品っていうのは本当に目玉が飛び出るような高額なものばかりだな。まあ俺には美術のセンスがないから価値はわからないけどさ、館長は凄い美術品のマニアでさ、ヒマなのか色々と語ってくるわけ……日本最初の乾電池のモデルや、レオナルド・ダ・ヴィンチのコンタクトレンズのイメージ画、それからナポレオンの指示した缶詰の試作品などなど、俺には本当にゴミにしか見えないのに、その価値は何百万、何千万にもなるらしい」
私にはイマイチピンとくる話ではなかったが、徹さんは色んな職業を経験したためか、かなりの雑学を身につけているようだ。
「それで、その美術館で何があったんですか?」
私が先を急かすように言うと、徹さんは手を前に突き出して待ったをかけた。
「まあまあ。そんなに急ぎなさんなって。そう、肖像画や得体の知れない石膏像。西洋甲冑や断頭台など、とにかく気味の悪い物も結構あるんだ」
……断頭台って、あのフランス革命に使われた奴だよな……大英博物館にあるんじゃなかったっけ? 日本にも本当にあるのだろうか?
徹さんの話しに半分マユツバなものを感じつつ、怪談は始まった。
「いいかい、俺の勤務した美術館にはね『真実の口』っていう作品があるんだ」
また何処かで聞いた事のある単語が出てきたが、私はツッコミを入れる事無く話に耳を傾けた。
続いての話は徹さんだ。マグロ拾いに続いての話はどんな話なのか非常に興味深いものだ。
「さて、今度は何を話そうかな……まあ色々あるけど、今度は俺が美術館で体験した話ををしようか」
徹さんは短大を卒業後、ドラッグストアに就職したものの僅かに1年で退職し、最初の転職先として美術館のガードマンを短期でやったらしい。
「美術品っていうのは本当に目玉が飛び出るような高額なものばかりだな。まあ俺には美術のセンスがないから価値はわからないけどさ、館長は凄い美術品のマニアでさ、ヒマなのか色々と語ってくるわけ……日本最初の乾電池のモデルや、レオナルド・ダ・ヴィンチのコンタクトレンズのイメージ画、それからナポレオンの指示した缶詰の試作品などなど、俺には本当にゴミにしか見えないのに、その価値は何百万、何千万にもなるらしい」
私にはイマイチピンとくる話ではなかったが、徹さんは色んな職業を経験したためか、かなりの雑学を身につけているようだ。
「それで、その美術館で何があったんですか?」
私が先を急かすように言うと、徹さんは手を前に突き出して待ったをかけた。
「まあまあ。そんなに急ぎなさんなって。そう、肖像画や得体の知れない石膏像。西洋甲冑や断頭台など、とにかく気味の悪い物も結構あるんだ」
……断頭台って、あのフランス革命に使われた奴だよな……大英博物館にあるんじゃなかったっけ? 日本にも本当にあるのだろうか?
徹さんの話しに半分マユツバなものを感じつつ、怪談は始まった。
「いいかい、俺の勤務した美術館にはね『真実の口』っていう作品があるんだ」
また何処かで聞いた事のある単語が出てきたが、私はツッコミを入れる事無く話に耳を傾けた。

