学園怪談2 ~10年後の再会~

「はあ。まだ止まないなあ」
 私は電話ボックスのガラスに寄りかかりながら、プリントアウトした紙を暇つぶしに読み続けた。
「……あ!」
 私はほとんど最後に書かれていた文章を見た。
『注意。必ず10分経ったら直ぐに電話ボックスを出ること。それ以上長くいると恐ろしい事が起こります』
 私の心臓がギクリと悲鳴を上げた。
「あ、あはは。まだ大丈夫だよね。ふ~、そろそろ雨も小雨になったかな~」
 ギシ。ググググ。
「あ、あれ?」
 ギシ。ギシギシ。
 ドアが開かない。
「あれ、あれれれ!」
 いくら力を入れて引っ張っても、押しても。入ってきたはずのドアは全く開かなくなってしまっていた。
「そ、そんな。何かの間違いだよね? 出られないよ~!」
 私は自分でも馬鹿に思える程の情けない声を出していた。大袈裟な声を出しているのは、もちろん不安を吹き飛ばす為だ。
 その後もどうにかドアの開閉を試みてはみたが、ドアは閉じた貝の口のように開かなかった。
「もう! こうなったら誰かに助けを求めるしかないか」
 私はドキドキしながら、フックから外されて垂れ下がったままの受話器を拾い上げた。
「あれ? そういえば、さっきから音声が流れてない?」
 ふと、私は気づいた。先ほどまで繰り返し流れていた音声が、いつからか聞こえなくなっていることに。
 恐る恐る受話器を耳に当てると、電話は何処かに繋がっているようだった。
「あ、あの……も、もしもし?」
 ……。
受話器の向こうからは何も聞こえてこない。