……あれは私が高校2年生の秋。初恋にやぶれ傷心の傷の癒えなかった私は、あるネット掲示板の書き込みで、この電話ボックスの伝説を知ったんです。
……秋の夜長とは言いますが、10月も中旬になると、日が落ちるのが確かに早くなってきたように思いました。
新座駅北口に出た私を、長く伸びた自分の影だけが迎えてくれました。辺りは早くも人気がなくなってきて、たまに遠くのT字路を直進して通過する車が見て取れるだけです。
そして、薄暗くなりかけた夕暮れの光に微かに照らされた電話ボックス。ここ最近は誰も使っていないのではないかと思える。
「う~、何か気味が悪いな」
電話ボックスまでの100メートルくらいの距離を歩くうちに、辺りはますます夜の気配を帯びたように思えた。
電車を降りて北口から住宅街に向かう人たちすら、この電話ボックスの方には来ない。こちらには電話ボックスの他には工場の廃材置き場くらいしかないからだ。
……電話ボックスは本当に古びた感じで、緑色の電話はところどころ色が剥げ落ち、下に置かれた電話帳はビリビリに破れ、ボックスのガラスはピンク広告シールが剥がされた跡が多数見られました。ごく僅かに残った顔写真の女性の髪形を見ただけで、その広告がかなりの年代ものであることが窺えました。
「大丈夫なのかな~。この電話使えないなんてことないよね」
怖さからか、不安な気持ちからか。私の独り言はついつい増える。
恐る恐る受話器を上げて、テレホンカードを挿入口に差し入れてみた。
……ツー。
よかった。ちゃんと通話は出来るようだ。
……秋の夜長とは言いますが、10月も中旬になると、日が落ちるのが確かに早くなってきたように思いました。
新座駅北口に出た私を、長く伸びた自分の影だけが迎えてくれました。辺りは早くも人気がなくなってきて、たまに遠くのT字路を直進して通過する車が見て取れるだけです。
そして、薄暗くなりかけた夕暮れの光に微かに照らされた電話ボックス。ここ最近は誰も使っていないのではないかと思える。
「う~、何か気味が悪いな」
電話ボックスまでの100メートルくらいの距離を歩くうちに、辺りはますます夜の気配を帯びたように思えた。
電車を降りて北口から住宅街に向かう人たちすら、この電話ボックスの方には来ない。こちらには電話ボックスの他には工場の廃材置き場くらいしかないからだ。
……電話ボックスは本当に古びた感じで、緑色の電話はところどころ色が剥げ落ち、下に置かれた電話帳はビリビリに破れ、ボックスのガラスはピンク広告シールが剥がされた跡が多数見られました。ごく僅かに残った顔写真の女性の髪形を見ただけで、その広告がかなりの年代ものであることが窺えました。
「大丈夫なのかな~。この電話使えないなんてことないよね」
怖さからか、不安な気持ちからか。私の独り言はついつい増える。
恐る恐る受話器を上げて、テレホンカードを挿入口に差し入れてみた。
……ツー。
よかった。ちゃんと通話は出来るようだ。

