その時だった。
 パアアアアア!
 祠の後ろから先ほどの光よりもさらに眩い光が溢れた。
「いったいこれは?」
 先頭に立つ赤羽先生をはじめ、全員がその光に包まれ、目を閉じる。
『……紫乃』
 誰か女性の声が聞こえた。
「誰? 誰なの?」
 今度は紫乃さんの声だ。
 光を遮ろうと手をかざした私の視界に、半透明な姿の少女が現れた。
 白いパジャマ姿でうっすらと微笑む少女は、高校生くらいの歳にしか見えない。
「う、嘘……美也子……美也子なの?」
 紫乃さんは驚愕の表情で目の前に現れた少女と対峙した。
 目の前に現れた少女は、タイムカプセルに手紙を一緒に入れた紫乃さんの友人だったのだ。白血病にかかり、祠の前で謎の変死を遂げた同級生。今になって浮かばれずに姿を現したのだろうか?
『よかった……もうすぐ十年だね。無事でよかった……さあ、最後の祈りを捧げましょう』
「何、どういうこと? 美也子! 一体あなたに何があったの?」
 しかし美也子さんは紫乃さんの言葉に答えず、可愛らしい笑顔だけを残すと、スーッと祠の中に掻き消えるかのように消えた。
 ピピピ。ピピピ。
 淳さんの物らしい、腕時計の機械音が鳴った。
 ……0時だ。日付が変わった。