……。
高校卒業をして、大学入学までのヒマな春休み。俺は車の免許を取り立てという友人の峯田、それから同じく高校の友人で横川の二人と共に、青木ヶ原樹海へと遊びに行った。
「大ちゃんは怖いの大丈夫だよな」
「え、ああ。少しはね」
後部座席に座る横川に笑顔を返すと、俺は正面に広がる木々の山道を眺めていた。
その道は昼間だというのに人気がなく、日当たりもよくないせいかかなり肌寒く感じた。
「……なあ、お前ら知ってるか?」
突然、運転席で峯田が口を開いた」
「何を?」
「……青木ヶ原にな、宝物が眠っているって話しだよ」
その直後、俺と横川は二人同時に笑い出した。
「な、何がおかしい!」
まだ高校を卒業したばかりだというのにあごヒゲを立派に生やし、いかついサングラスをかけてタバコをふかす。一見コワモテの兄ちゃん風の峯田がまさかそんな可愛らしいことを言うとは思ってもみなかったからだ。
「はっはっは。いやいや、悪かった。で、お宝とやらは何だ? 子供銀行のお札か?」
横川はまだ笑い転げ、峯田は不機嫌そうに眉を歪めた。
「悪い悪い。それで、その話は本当なのか?」
代わりに俺が聞いてやることにした。
「……実はな」
始めムスッとしていた峯田もよほど話したかったのか、少し待った後に話し始めた。
「樹海をある程度進んでいくとな……出るんだよ」
「出る? 何が?」
「幽霊……いや、ゾンビだ」
峯田の口から、さらにとんでもない単語が飛び出た。
「ゾンビ?」
俺はとりあえずそのまま復唱した。
「ああ。そのゾンビはな、侵入者に選択肢を投げかけてくるらしい。『進む』とか『帰る』とかな。そしてその中から一つ選んで進んで行くと最後には金銀財宝にたどり着けるって訳さ」
あまりにも馬鹿げた話だが、金銀財宝という言葉には興味を覚えた。そりゃそうだ、学生は金がない。自由に遊べるお金があったらどれだけ嬉しいことか。
おそらくは横川も同じような気持ちでいるから、峯田に着いて来たのだろう。
高校卒業をして、大学入学までのヒマな春休み。俺は車の免許を取り立てという友人の峯田、それから同じく高校の友人で横川の二人と共に、青木ヶ原樹海へと遊びに行った。
「大ちゃんは怖いの大丈夫だよな」
「え、ああ。少しはね」
後部座席に座る横川に笑顔を返すと、俺は正面に広がる木々の山道を眺めていた。
その道は昼間だというのに人気がなく、日当たりもよくないせいかかなり肌寒く感じた。
「……なあ、お前ら知ってるか?」
突然、運転席で峯田が口を開いた」
「何を?」
「……青木ヶ原にな、宝物が眠っているって話しだよ」
その直後、俺と横川は二人同時に笑い出した。
「な、何がおかしい!」
まだ高校を卒業したばかりだというのにあごヒゲを立派に生やし、いかついサングラスをかけてタバコをふかす。一見コワモテの兄ちゃん風の峯田がまさかそんな可愛らしいことを言うとは思ってもみなかったからだ。
「はっはっは。いやいや、悪かった。で、お宝とやらは何だ? 子供銀行のお札か?」
横川はまだ笑い転げ、峯田は不機嫌そうに眉を歪めた。
「悪い悪い。それで、その話は本当なのか?」
代わりに俺が聞いてやることにした。
「……実はな」
始めムスッとしていた峯田もよほど話したかったのか、少し待った後に話し始めた。
「樹海をある程度進んでいくとな……出るんだよ」
「出る? 何が?」
「幽霊……いや、ゾンビだ」
峯田の口から、さらにとんでもない単語が飛び出た。
「ゾンビ?」
俺はとりあえずそのまま復唱した。
「ああ。そのゾンビはな、侵入者に選択肢を投げかけてくるらしい。『進む』とか『帰る』とかな。そしてその中から一つ選んで進んで行くと最後には金銀財宝にたどり着けるって訳さ」
あまりにも馬鹿げた話だが、金銀財宝という言葉には興味を覚えた。そりゃそうだ、学生は金がない。自由に遊べるお金があったらどれだけ嬉しいことか。
おそらくは横川も同じような気持ちでいるから、峯田に着いて来たのだろう。

