学園怪談2 ~10年後の再会~

 ……。
 ……10年前には自動販売機の話をした事を覚えてるかな? とにかく私は友達に起こった異変や怪奇現象を何度も間近で見てきたわ。
 今回は『時子さん』というお話をするわね。
 ……私は実はバツイチなの。もう本当に失敗だったわ。あ、ごめんね、徹君と紫乃は仲良くしてよね。結婚は基本的にいいものだから。ただ私の相手の男が……って、私の身の上話はどうでもいいわね。
 それでね、私の友人にスミレっていう子がいるんだけど、彼女は昔から霊感の強い子でね、金縛りや幽霊を見ることは日常茶飯事ってくらいの子なの。
 スミレが結婚して、2年後に妊娠した時にある異変が起こったの……。
「おいスミレ。無理するなよ。お前は今大事な時期なんだから」
「うん。ありがとうヒロツグ」
 スミレの旦那は凄く優しい人で、年齢も一回り上の大人だったから頼りがいのある人でね。スミレもそんな彼を心から愛していて、いつも幸せいっぱいの二人だった。
 ……妊娠3ヶ月目。
 妊婦にとっては辛い時期だ。徐々に重く感じるようになるお腹に、急にやってくるツワリ。子供が出来るというのに男は全く変化はなく、自分だけが急に不幸を背負い込んだ気分になり鬱になっていく。
「……うええ。うえええ」
 スミレは特にツワリが酷く、もうご飯を食べるたびに戻してしまい、栄養が取れずに点滴を打たねばならない程だった。
「大丈夫? とにかく辛いのは今の時期だけだからね。頑張って」
 私も何度もヒマを作っては彼女を励ましに行った。