……! そして、その脇にはコムギがいた。
昼間よりもさらに禍々しい姿へと変貌を遂げ、2本になったシッポが特徴的だった。その姿は、もはや化け猫と表現する他はない。
「……ねえ、雅夫くん」
驚いた事に、猫が口をきいた。
「……コムギ、もうダメだよ。お前はもうお腹いっぱいに食べただろう」
少年……(雅夫くんという名前らしい)は、布団に入ったまま猫に臆する事無く声を出す。
「でもね雅夫君。私はもうネコマタになっちゃったから。もう我慢ができないんだよ」
……ネコマタ。
たしか長生きをした猫が妖怪に変化するっていう話を何かの本で見た事があった気がした。
「だめだよ、いくらコムギの頼みでも……。だって、お前がどうしてもっていうから僕のパパとママを……」
少年はそう言いながら少しばかりの嗚咽を漏らした。
……そういえば、この宿に来てから、この少年以外の住人を誰も見ていない。
僕の背中を冷や汗が流れ落ちていく感覚があった。
「でもさ、雅夫君も見たでしょ? 昼間の高校生たちを。あの子たちの肌の張りのみずみずしいこと……。あの脚や腹に喰らいついたら、さぞかし心地よいことでしょう」
「だ、だめだよ! 他人に手を出したらもうお前は生きられなくなっちゃうよ。きっと警察にも捕まっちゃうし、殺されちゃう。お前にだけは僕は長生きして欲しいんだ」
少年は涙ながらに訴えた。
「雅夫くん……」
ネコマタもさすがに彼の涙にはこたえたのか、僅かばかりの沈黙が流れた。
昼間よりもさらに禍々しい姿へと変貌を遂げ、2本になったシッポが特徴的だった。その姿は、もはや化け猫と表現する他はない。
「……ねえ、雅夫くん」
驚いた事に、猫が口をきいた。
「……コムギ、もうダメだよ。お前はもうお腹いっぱいに食べただろう」
少年……(雅夫くんという名前らしい)は、布団に入ったまま猫に臆する事無く声を出す。
「でもね雅夫君。私はもうネコマタになっちゃったから。もう我慢ができないんだよ」
……ネコマタ。
たしか長生きをした猫が妖怪に変化するっていう話を何かの本で見た事があった気がした。
「だめだよ、いくらコムギの頼みでも……。だって、お前がどうしてもっていうから僕のパパとママを……」
少年はそう言いながら少しばかりの嗚咽を漏らした。
……そういえば、この宿に来てから、この少年以外の住人を誰も見ていない。
僕の背中を冷や汗が流れ落ちていく感覚があった。
「でもさ、雅夫君も見たでしょ? 昼間の高校生たちを。あの子たちの肌の張りのみずみずしいこと……。あの脚や腹に喰らいついたら、さぞかし心地よいことでしょう」
「だ、だめだよ! 他人に手を出したらもうお前は生きられなくなっちゃうよ。きっと警察にも捕まっちゃうし、殺されちゃう。お前にだけは僕は長生きして欲しいんだ」
少年は涙ながらに訴えた。
「雅夫くん……」
ネコマタもさすがに彼の涙にはこたえたのか、僅かばかりの沈黙が流れた。

