……。
「その男はホテルで自分の彼女を絞め殺したそうです。なんでも警察の取調べの時に例のマスクの女性のことを話したそうなんですが、警察は信じることもなく逆に覚せい剤なんかをやってないかと取り調べた程でした」
 斎条さんの話が終わった。
「結局その男の人はどうなったんだい?」
 徹さんの言葉に斎条さんが怖い顔で答える。
「死にました。殺人罪で服役中に。なんでも刑務所の中でも例の女の影に怯えていて、独房の中で縮こまって生活していたみたいです」
「ふ~ん。やっぱり電話の主も、そのマスクの女だったりしたのかな?」
「なんで? どうやって番号を知ったの?」
「そりゃあ、書類をぶちまけた際に何か携帯番号のメモかなんかをパクってたりしたんじゃないの?」
 徹さんと紫乃さんは推理のつもりなのか、話しに夢中だが、斎条さんはボソリと呟いた。
「……そのマスクの女性は彼の販売する商品で顔に吹き出物ができて、それを苦に事件の3日前にマンションで飛び降り自殺をしていたんです……」
 私は背筋に冷たいものが落ちていく感覚を覚えた。
 誰かの唾を飲む音が聞こえた気がした……。

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