……事を終えたベッドで横になっていると、不意に携帯が鳴った。
 トゥルルルルルル。
「はい、もしもし」
 プライベートな時間であれ、電話には必ず出るのが俺の主義だ。
『……』
 携帯からは誰の声も聞こえてこない。
 でも……、何だか耳に冷たい風を感じる気がする。
「誰? 用がないならきるよ」
 携帯の表示は公衆電話からなので、知り合いなのかどうかもわからない。
『……見つけた』
「あん? 何言ってんの?」
 微かに聞こえるくらいだった音量が、次の瞬間に一気に上がった。
『見つけたああああああ!』
「うわあ!」
 俺は慌てて携帯電話を手放した。
「どうしたの?」
 女が寄り沿って来たが、俺は携帯を恐る恐る取り上げて電源を切ると、布団を頭から被った。
 ……何だったんだ今のは? 俺を見つけたっていったい? 
 ……大丈夫、大丈夫だ。別に何てことのないイタズラだ。
 俺は自分にそう言い聞かせた。しかし、普段なら大して気にも留めず、イタズラで片付けられる俺なのに、今日ばかりは何かが違った。それを証明するかのように俺の心臓が激しく鼓動を続けている。