学園怪談2 ~10年後の再会~

「石田先生、あなたに一つ調べてもらいたい事があります」
 学園長の長谷川先生は、代々この新座学園の学園長を務めてきた大地主の一族だ。良識もあり、この土地の人々からの支持も高い。だからか、学園の指導もしっかりと行き届いており、過去に様々な事件が起こっていながら、それでもこの新座学園に通いたいという生徒の人気は毎年変わらない。
「およびですか、学園長?」
 俺が学園長室に入ると、もう50歳にはなろうという気品溢れる女性が優雅な空気を伝えて来る。とにかく上品で、誰にも好印象を与える女性だ。顔に刻まれた皺が年齢を感じさせるものの、かえってそれもチャームポイントに変えてしまっている。
「ええ、あなたに依頼した特別任務について経過報告をして頂戴」
 その言葉に、俺は学園の地図を取り出して、広げて見せた。
「はい、学園内の全ての目につく場所は探しましたが、何も見つける事は出来ませんでした。次は倉庫や体育館などの学園敷地内の建物への捜査を開始します」
「……そうですか。本当は学園を取り壊してでも探すべきなんでしょうけれど、これだけの霊力が宿っていては無理に探そうとして甚大な被害に繋がる可能性もあります。あなたには苦労をかけますが、引き続き捜索の方をお願いします」
 学園長は伏し目がちに、地図を折りたたんだ。
「任せて下さい。今のところ俺も安全に捜索できています。少しずつですが核心に迫っている気はするんです。もう少し時間を下さい」
 ……俺が学園長から与えられた任務、それは井上孔明の体を探すこと。