学園怪談2 ~10年後の再会~

 ……ダメ! そっちに行っちゃダメ!
 私には見えた。断片的な予知……、過去の出来事を見ていて予知というのも変だが、二人の向う先……非常階段は先回りされている。井上孔明の死霊……が乗り移ったのだろうか? 虚ろな目で非常階段を昇る喜多川がいる。
 ガシャアアン!
 そして、田伏ともう一人の女生徒は……餌食となった。
「これで全てか……」
 ……放送で聞いた声だ!
 私の耳にくぐもって聞こえた放送で聞こえたのと同じ声が聞こえた。喜多川の持つ一冊の『赤い本』が目にとまった……。
 これがキーワード?

 ……。
 景色が変わった。
 今度は過去のものではなく、私がたまに見る未来の記憶だ。
 バシュウウウ!
 私の視界に飛び込んできたのは……銀の……『ロザリオ』。それも大、中、小と大きさの異なる十字架一つずつが鎖で束ねられている。それが……鎖が切れて飛び散った光景が見えた。
 
 ……。
 また景色が飛んだ。
 暗く、光の射さない場所……、ボールの弾む音がクグモッテ聞こえる。そして見えたのは『斎条弘子』私自身? 

 ……。
パアアアアン!
「きゃああ!」
 紫乃さんの悲鳴が教室内に響き渡る。
「はあはあはあ」
 途端に、目を閉じていた斎条さんが肩で大きく息を始めた。
「だ、大丈夫か? いきなり水晶玉にヒビが入ったと思ったら……弾け飛んだよ」
 大ちゃんさんが、斎条さんを支える。
「はあはあ、大丈夫です。予知をみると精神力をけっこう使うみたいなんです。でも……みなさんにもキーワードが見えましたか?」